業界紙「リユース経済新聞」第628号の特集「リユース企業AI活用実態調査」で、僕が経営する株式会社リアルスタンダードを取り上げていただきました。
はじめに
AIを入れてみたけれど、仕事がどう変わったのかよく分からない。
そんな声を、セミナーや相談の場でよく聞きます。
この記事では、新聞に載った自社の出品の仕組みを、取材でお話しした内容に沿ってご紹介します。
中小企業がAIで「自社専用の仕組み」を作るとき、どこから考えればいいのかのヒントになればうれしいです。
リアルスタンダードでは、ネット出品の作業をAIで組み直し、5回のクリックで出品データができるようにしました。
1個15分かかっていた出品が、10個でも10分で済むようになり、年間で数百時間の削減を見込んでいます。
仕組みはClaudeと一緒に作り、基本の部分は3日、試験導入までは1か月でした。
1. リユース経済新聞に掲載された記事
リユース経済新聞は、中古品の買取や販売に関わる会社向けの業界紙です。
今回は、リユース業界の会社がAIをどう使っているかを調べる特集の中で、取材を受けました。
見出しは「5クリックでネット出品可能に」「AI人格『キレコさん』が商品説明」です。
掲載紙面は、リユース経済新聞社さまの許可をいただいて掲載しています。

出典:リユース経済新聞 第628号「リユース企業AI活用実態調査」
2. 5クリックで出品できるまでの流れ
リアルスタンダードは、化粧品や美容機器などを店頭と宅配で買い取り、ネットで販売している会社です。
扱う商品の数が多いぶん、出品の手間がずっと重荷でした。
以前は、1個を出品するのに15分ほどかかっていました。
商品名を調べ、写真を整え、説明文を書き、どこで売るかを決める。
この繰り返しです。
今の流れは、こうなっています。
- 専用のアプリに買取伝票を読み込ませる
- AIが過去の販売データと照らし合わせ、どこで売るかを自動で振り分ける。
過去に売ったことのない商品だけが「新規出品リスト」に並ぶ - スマホのカメラで撮影すると、商品名と画像がひも付く
- パソコンで取り込みボタンを押すと、商品説明のページが開く
- 説明文の作成ボタンを押すと、AIがタイトルと説明文を作る。
あとはCSV(表形式のデータファイル)を書き出せば、出品データのできあがり
写真の背景も自動で切り抜かれ、自社のロゴが入った状態で保存されます。
取材の時点では試験導入中で、出品先はメルカリでした。
3. AI人格「キレコさん」が商品説明を書く
記事の見出しにもなった「キレコさん」は、化粧品が得意なバイヤーという設定のAIです。
これまでにためた商品リストを踏まえて、商品説明をすぐに書いてくれます。
化粧品の説明文で気をつけたいのが、薬機法(医薬品や化粧品の広告表現を定めた法律)です。
キレコさんには、この法律に触れない書き方を守らせています。
商材ごとに得意分野の違うAI人格を用意していて、取材の時点で5人いました。
人に担当を割り振るのと同じ感覚で、AIにも役割を持たせています。
この仕組みはClaudeで開発し、自社の基幹システムとAPI(システム同士をつなぐ窓口)で連携しています。
4. 一番の狙いは「人が判断する回数」を減らすこと
取材で一番お伝えしたかったのは、作業を速くすることよりも、判断の回数を減らすことです。
「この商品はどこで売る?」
「カテゴリーはどれ?」
「説明文はどう書く?」
出品の仕事は、この小さな判断の積み重ねでできています。
ひとつひとつは数十秒でも、商品の数だけ繰り返すと、大きな時間と疲れになります。
そこをAIに任せたことで、1個15分だった出品が、10個でも10分で出せるようになりました。
年間にすると、数百時間の削減になる見込みです。
次の目標は、業務をワンクリックで終わらせることと、メルカリ以外のネットショップにも広げることです。
5. 外注なら数百万円の仕組みが、数千円で作れた
基本の仕組みは、僕が3日で作りました。
調整を重ねて試験導入するまでが、1か月です。
同じものを外注で作れば、数百万から1000万円くらいかかるだろうと思います。
それが、AIの利用料の数千円で実現できました。
プログラミングを特別に勉強したわけではありません。
「これをやりたい」を思いつけば、あとはAIと一緒に形にできる時代になりました。
道具は、次のように使い分けています。
| AI | 使い方 |
|---|---|
| ChatGPT | 相談や壁打ち。土台が固まったら仕様書を書いてもらう |
| Claude | 仕様書を渡して、プログラムを作ってもらう |
| 両方 | 「ChatGPTはこう言っているけど、Claudeはどう思う?」と、意見を聞き比べる |
AIの選び方そのものについては、Claudeを中小企業で活用するには?4種のサービス比較と導入ステップでも詳しく書いています。
6. AI導入がうまくいく会社の2つの条件
取材の最後に、AI導入がうまくいくかどうかを分けるものについてお話ししました。
僕の答えは、この2つです。
「トップが理解しているか」
「やる人がいるか」
AIの契約をしただけでは、何も変わりません。
AIをどう使って、会社の利益に変えるか。
それを考えて動かす人がいるかどうかが、一番大事なところです。
リアルスタンダードでは、AIを出品だけでなく、買取の集客、検品や評価、値付け、翻訳、経営の分析や資料作り、経理や総務の仕事にも使っています。
自社で毎日使っている使い方は、中小企業のAI活用は何から始める?自社で毎日使っている7つの実例にまとめました。
取材のあとも、仕組みは少しずつ育っています。
生駒商工会議所のセミナーでお話しした、出品作業の最新の数字はセミナーの報告記事でご紹介しています。
7. よくある質問
Q. プログラミングの知識がなくても、自社の仕組みは作れますか?
作れます。
僕も特別な勉強はしていません。
大事なのは「何をやりたいか」と「今の仕事がどんな手順でできているか」を言葉にできることです。
Q. 最初から大きな仕組みを作る必要がありますか?
ありません。
出品の仕組みも、最初は説明文を書く一手順をAIに頼むところから始まりました。
小さく始めて、うまくいった部分をつないでいくのが近道です。
Q. 費用はどれくらいかかりますか?
この出品の仕組みは、AIの利用料として数千円で作れました。
ただ、会社ごとに業務も道具も違うので、まずは今の仕事を棚卸しして、どこにAIが効くかを見極めるのがおすすめです。
8. まとめ
リユース経済新聞に、リアルスタンダードのAI出品の仕組みを取り上げていただきました。
5回のクリックで出品データができる。
1個15分が、10個で10分になる。
そして、外注なら数百万円の仕組みが、数千円で作れる。
これは特別な会社だからできたことではありません。
自社の仕事を一番よく知っている人が、AIと一緒に考えたからできたことです。
あなたの会社で「判断の回数」が一番多い仕事は、何でしょうか。
みんなのデジタル参謀では、自社の仕事の棚卸しから、AIで仕組みを作るところまで伴走しています。
「うちの場合は何から?」という段階からでも大丈夫です。
お問い合わせはこちらからお気軽にどうぞ。
この記事を書いた人:脇田 淳(有限会社タクミ/株式会社リアルスタンダード 代表)
奈良県生駒市で2社を経営し、Web運用とリユース事業に23年。
自社でAIの仕組みを作りながら、中小企業のAI活用を支援しています。