上級者編 自動化と仕組み化
上級編のテーマは「人が使うAI」から「仕組みの中で働くAI」への転換です。ChatGPTに作業そのものを任せるエージェント機能、開発者向けのCodexとAPI、そして会社として安全に運用するための管理機能を扱います。内容はOpenAI公式ページで確認できた情報に基づいています(2026年7月時点)。
第1章 エージェントモード(ChatGPT agent)
指示を受けたら、自分で段取りを考えて複数の手順を実行し、成果物まで作るAIのこと。「答えるAI」から「働くAI」への進化形です。
ChatGPTのエージェントモードは、仮想のブラウザとコンピュータを使って作業を代行します。
- Webサイトを開いて情報を集め、比較表に整理する
- フォームに入力する
- スプレッドシートを編集して成果物として渡す
- Deep Researchと組み合わせた調査+資料化
使い方は、ツールメニューから選ぶか、入力欄に「/agent」と打ちます。有料プラン限定で、タスクは通常5〜30分かかります。
「手順は面倒だが、判断は簡単」な仕事が向いています。逆に、支払い・契約・重要な送信を伴う操作は、途中確認を前提に。実行の責任は使う側にあります。
第2章 Codex コーディングエージェント
OpenAIのコーディング専用エージェント。コードの作成・修正・レビューを任せられます。ChatGPTの各プランに使用量込みで含まれ、ChatGPTアカウントでログインして使います。
使える場所
| 形態 | 説明 |
|---|---|
| CLI(ターミナル) | 黒い画面で動く本格版。ローカルのファイルを直接扱える |
| Web | ブラウザからクラウド環境でタスクを依頼 |
| IDE拡張 | VS Code等のエディタに組み込む |
CLIの導入(ターミナルが初めての人へ)
ターミナル自体が初めての場合は、Claude教材の第0冊「セットアップ解説書」の第1章(ターミナルとは何か)を先に読んでください。考え方は全く同じです。
導入と開始は公式ドキュメント(developers.openai.com/codex)の手順に従います。ChatGPTアカウントでのログインが基本です。
CodexはClaude Codeと同じ「ターミナルで動くコーディングエージェント」です。両方使う場合も、探索→計画→実装→確認という進め方の型(Claude教材中級者編)はそのまま通用します。
第3章 API・OpenAIプラットフォーム入門
プログラムからAIを呼び出す接続口。自社システム・スプレッドシート・業務ツールにAIを組み込む時に使います。
重要な区別: ChatGPTのサブスクリプション(Plus等)とAPIは別契約・別課金です。
| ChatGPT(サブスク) | API | |
|---|---|---|
| 使う人 | 人間が画面で使う | プログラムが呼び出す |
| 課金 | 月額固定 | 使った分だけ(トークン従量) |
| 用途 | 日常業務 | 自社ツールへの組み込み・大量処理 |
開発者向けの入口は platform.openai.com と developers.openai.com です。
いきなり自社開発しなくても、GAS(Googleスプレッドシートの自動化)からAPIを呼ぶだけで「問い合わせメールの自動分類」「商品説明文の一括生成」のような仕組みが作れます。最初の一歩はスプレッドシート連携が現実的です。
第4章 Business/Enterpriseの管理機能
会社として本格導入する時に使う管理機能です(公式ページで確認できたもの)。
- SSO(シングルサインオン): 会社の認証システムでまとめてログイン管理
- SCIM: 入退社に合わせてアカウントを自動で追加・削除
- ワークスペース分析: 誰がどれくらい使っているかの把握
- Compliance API・監査ログ: 記録の保全と監査対応
- アプリ連携のドメイン許可リスト: 接続してよい外部サービスを会社が制限
- Company knowledge: 社内ナレッジを横断して答えさせる(Business以上)
「誰が・いつ・何をしたか」の記録。トラブル時の調査や、社外への説明責任に必要になります。
第5章 安全とガバナンス
データ保護の全体像(公式記載)
| プラン | 入力データの学習利用 | 備考 |
|---|---|---|
| Free/Go/Plus/Pro | 初期設定では利用される | 設定でオフにできる(オプトアウト) |
| Business/Enterprise/API | 既定で利用されない | 保存はAES-256、通信はTLS 1.2以上で暗号化と明記 |
自動化を広げる時の原則
- エージェントに渡す権限は必要最小限にする(接続するアプリ・サイトを絞る)
- お金・契約・送信を伴う操作は人間の確認を挟む
- 自動化した処理の結果を、誰がいつ検収するか決めておく
- 定期実行タスクは低リスクな作業に限定する
- プロンプトインジェクション(外部の文書やサイトに仕込まれたAIへの偽指示)のリスクを知っておく。外部情報を読む作業と、強い権限の操作を安易に組み合わせない
社内ガバナンスのチェックリスト
- AIに入れてよい情報・いけない情報の線引きが文書化されているか
- 個人プラン利用者全員の学習オプトアウト設定を確認したか
- GPTs・エージェントの成果物を検収するルールがあるか
- 退職者のアカウント処理(SCIMまたは手動)が決まっているか
第6章 まずは使ってみよう
上級の課題は「仕組みを1つ作って、翌週も動いていること」です。
- 「/agent」で起動し、「(自分の業界)の主要3社のサービス内容と価格を各社の公式サイトで調べて、比較表のスプレッドシートにまとめて」と頼みます。
- 途中の確認にはすべて目を通してから許可します。
- できた表の数字を、必ず2〜3箇所は自分で元サイトと突き合わせます。
- 毎週やっている定型作業(週次の情報収集・レポートの下書きなど)を1つ選びます。
- Tasks(またはエージェントモード)で自動化し、出力の形式を指示で固定します。
- 1週間毎日出力を検収し、指示文を2回以上改善します。
- 1週間後、「このまま使う/直す/やめる」を判断します。
出典(OpenAI公式ページ)
OpenAIのサイトは自動取得を制限しているため、本書の内容は公式ページの検索経由確認を含みます。導入前に各ページを直接確認してください。
- ChatGPT agent https://help.openai.com/en/articles/11752874
- エージェント発表 https://openai.com/index/introducing-chatgpt-agent/
- Codex https://openai.com/codex/
- Codexヘルプ https://help.openai.com/en/articles/11369540
- Codex開発者ドキュメント https://developers.openai.com/codex
- Tasks https://help.openai.com/en/articles/10291617
- Business管理機能 https://help.openai.com/en/articles/8792828
- 企業向けデータ保護 https://openai.com/enterprise-privacy/
- データコントロール https://help.openai.com/en/articles/7730893
本書の内容は2026年7月時点の確認情報です。
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